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東京六大学リーグの有望株トップ25を考える

ワールド・ベースボール・クラシックの開幕まで1ヶ月を切った。
日本代表チームも28人のメンバーが出揃った。
全12球団が70人を支配下選手登録したと仮定すると、28人は上位3%にあたる。
ハイレベルな戦いを見ることが面白いのは、大学野球においても同じである。
今回は、日本全国に26ある大学野球リーグにおいて最もレベルの高い東京六大学野球連盟で、さらに有望な選手を選定した。MLB風に言うと“プロスペクト”だ。
まずは野手16人から(画像はクリックで拡大・学年は来年度の新学年で表記)。



野手を選定するにあたって、4年生は30試合以上、3年生は20試合以上、2年生は10試合以上出場している事や、何らかの成績が秀でている事を目安にした。
もちろん明確なものでは無いが、それぞれの大学のファンが「そうそう、確かに○○は期待だよね」と納得するものにはなっているはずだ。

さて、真っ先に目に付くのは慶應大の岩見雅紀だろう。
今春卒業する選手を含めても9本塁打は最多タイだ。特筆すべきは本塁打率9.56という数字で、つまり10打数に1本はホームランが出る計算になる。
ドラフト会議を意識しているプロ野球ファンであれば彼の名前を知っているだろう。
僕自身、彼にかなり期待しているが、少し気になる点もある。
それは四死球率の低さ(.055)と三振率の高さ(.291)だ。
言うまでもなく、レベルが上がるにつれて投手が甘い球を放ることは少なくなるので、この辺りの粗さは要改善だ。

右の大砲だと法政大の中山翔太にも期待を寄せている。
昨秋早大戦で2ランと3ラン、慶應戦で2ランを放ち、一瞬でレギュラーの座を掴んだ。
ヤクルトとの奉納試合ではプロ相手に2ベース2本を含む3安打とその名を知らしめた。ガッチリした体格も和製大砲の名に相応しい。

ドラフト会議について言及すると、岩見をスルーして1年待って中山を指名するという選択肢もアリかもしれない。
また、今年は谷田成吾(JX-ENEOS)と北川利生(日本通運)という左右の社会人パワーヒッターも候補に挙がっている。
いずれにせよ、長距離打者を見るにあたって“確実性”はひとつのキーワードになってくるだろう。

法政大の外野手だと、大西千洋は現役トップの安打数と盗塁数を記録している。新3年生なのに、だ。
日米大学野球でも見せた、露骨に内野安打を狙うバッティングは少しもったいない。
俊足を活かした守備走塁と打撃にもうひと味出てくれば、世代を代表する選手になるはずだ。
3年生だと明治大の渡辺佳明にも注目。ちなみに横浜高校の元監督・渡辺元智氏の孫。
昨春に打率が1割以上アップし戦力として明治大の優勝に貢献した。
補足として言っておくと、法政大の選手が多い理由は、上の学年のメンバーがなかなか調子が上がらず、下級生の起用が続いたためである。

新2年生の中にも既に台頭している選手がいる。
小藤翼郡司裕也は捕手同士好ライバルとして早慶戦を盛り上げてくれるはずだ。
慶應大の柳町達はデビューとなった春の法大戦でいきなりホームランを放った。3番を任される試合もあり、期待度の高さが伺える。
個人的に「六大学の柳田悠岐」と勝手に呼んでいるが、是非パワフルな部分ももっと見せて欲しいものである。

次に投手9人だ。



柳裕也や加藤拓也といったタレントが揃った昨年までに比べると、少し華が無いというのが正直な感想。
慶應大は加藤が、立教大は澤田圭佑と田村伊知郎が大部分を投げていたために選出はゼロ。

史上初東大からドラフト1位の期待がかかる宮台康平だが、来季の道のりはかなり険しいだろう。
日米大学野球で自己最速の150キロを出したが、その後は故障に見舞われた。実戦から遠ざかったことが悪く影響しなければいいが、ベストシーズンを送ることを期待している。

その一方で名を上げているのが明治大の齊藤大将だ。
鋭いスライダーを武器に三振を奪う変則左腕。奪三振率9.79という数字も好印象。
このままリリーフか、それとも先発に転向するかは分からないが、この類の左投手にとって永遠の課題である右打者相手の投球にさらに磨きをかける必要があるだろう。
柳の後ろには齊藤と水野匡貴という左右の切り札が控えていた。美しいまでの世代交代の流れは、学生野球チームすべてが理想とするべき姿だろう。
以前も書いたが、2勝先取制のルール上、エースを擁立することは特に重要である。
石田健大が抜けた後、後継候補の筆頭だった熊谷拓也が伸び悩んだ現状の法政大を見れば、それは明らかだろう。

早稲田大の場合、特定の投手の酷使が目立つが、継投を細かく行うゲームも増えた印象がある。
今年卒業のサウスポー・竹内諒やアンダースロー・吉野和也といういぶし銀のプレイヤーが昨季も活躍した。
大竹耕太郎がダメなら小島和哉が投げるぞ、小島の後は柳澤一輝、北濱竣介だ、頼むぞーー
といった持ちつ持たれつのような関係もまた、学生野球にとって理想なのかもしれない。
来シーズンは大竹の復調を望みつつ、速球派の柳澤と新3年生の小島がどのような結果を残せるかに注目したい。

一発勝負の高校野球と異なり、大学野球は負けてもそこで全てが終わるわけではない。
チームのサイクルは1年間、リーグ戦は7週間、選手にとっては4年間。
個々の選手を追うことが楽しいのは、これらの継続性が重なり合うからだと思う。
いずれ世界の舞台で戦う選手が、その中から生まれるかもしれないという可能性を考えたら、なおさらだ。

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今年見た中で印象に残った選手16人

個人的に、2016年は様々な試合を見ることが出来た年であった。
世代やバックグラウンドの異なる選手を、種々雑多に見られたことは野球ファンとして嬉しいことであった。
そこで今回は今年見た中で「印象に残った」「今後も注目していきたい」と思った選手を選び紹介することにする。2016年にちなんで16人だ。
投手→内野手→外野手の順番で見ていく。


國學院大學
清水昇 右左 先発 18年ドラフト
現時点で東都リーグのナンバーワン2年生。
最速150キロ、常時130キロ台後半〜140キロ台中盤のストレート、ツーシーム、スライダー、フォーク等、各球種の完成度が高い。
もっと制球をまとめて球数が少なくなれば完投勝利を量産できる。
プロでの具体像:菅野智之(巨人)のような圧倒的なエース



奈良学園大学
鈴木佳佑 右右 先発 18年ドラフト解禁
ガッチリした体格から最速147キロの直球、決め球のフォーク、緩急の効くカーブを交える。
力のこもったストレートを惜しみなく使う投球のまま完投できるスタミナも魅力。まさに〝奈良のガソリンタンク〟
パナソニック入社でさらなる成長を期待。
プロでの具体像:大竹寛(巨人)



神奈川大学
濱口遥大 左左 先発
150キロを超す直球にブレーキの効くチェンジアップがよく合う。ストレートの印象度が個人的にピカイチ。
良い時はガツガツと三振を奪えるが、大学最後のマウンドで大炎上したように、悪い時は悪い意味で手を付けられない。
アバウト過ぎるコントロールは問題。DeNAは持ち味の球威を殺さずに育成できるか。
プロでの具体像:悪いなりに試合を作れれば菊池雄星(西武)に




東京大学
宮台康平 左左 先発 17年ドラフト
肩の炎症により1試合のみの登板で3年秋のシーズンを終えたのは不安材料。
7月の日米大学野球では150キロを連発し米国打線を翻弄したが、それ以降いい話を聞かない。
個人的には制球が曖昧な点と体が細い点が気になる。
ストレートの速さと総合力の高さは誰もが認めている。焦らず復活を。
プロでの具体像:左投げの山岡泰輔(オリックス)



専修大学
高橋礼 右右 先発・中継ぎ 17年ドラフト
187cmの長身を折り畳み、最速141キロを投げ込むサブマリン。
アンダースロー愛好家として個人的に推したい投手だが、いかんせん制球が悪い。
16年秋は7試合29.1回0勝4敗与四死球率5.22防御率5.83。
4勝を挙げた1年前を再現したい。
プロでの具体像:働き場所を選ばないのも含めて牧田和久(西武)



亜細亜大学
高橋遥人 左左 先発 17年ドラフト
最速151キロ、常時140キロ台後半のストレートを投げ込む本格派左腕。
16年秋の与四死球率3.65はネック。しかしスライダーは左打者にとって攻略難易度高し。
球の出どころが見にくいフォームが特徴。
プロでの具体像:高校時代の記事によると成瀬善久(ヤクルト)似



中央大学
鍬原拓也 右右 先発 17年ドラフト
最速152キロを誇る東都最速投手。
3年秋は与四死球率3.98と制球に課題あり。が、主戦として3勝2完投をマークした。
プロでの具体像:速球派だが、短いイニングよりも長いイニングで良さが出るタイプ



宇部鴻城高校
嶋谷将平 右右 遊撃手 17年ドラフト
高校野球に疎い筆者だが、明治神宮大会で見て印象に残った。
バッティングは逆方向にも長打が打てる。守備は観客を魅了できるセンス溢れる系のもの。
プロでの具体像:坂本勇人(巨人)のような大型ショート



立教大学
笠松悠哉 右右 三塁手 17年ドラフト
大阪桐蔭高時代から長打力はお墨付き。
2年秋に3試合連発弾含む4HRと衝撃的な活躍も、それ以降は泥沼にはまった。
16年秋は11試合44打席で打率.194、0本塁打。挽回を!
プロでの具体像:打棒でチームに勢いを付けられる。松田宣浩(ソフトバンク)

JX-ENEOS
若林晃弘 右両 セカンド 17年ドラフト解禁
法政大時代に外野からセカンドに転向。社会人でも春先からレギュラーに定着し、堅実な守備力と順応性の高さを証明している。
大学4年時は春に打率.390、秋に3本塁打と一発を秘めた打撃に加え、大学通算10盗塁の俊足も魅力。
プロでの具体像:寺内崇幸(巨人)のようなスーパーサブとして欠かせない存在に



上武大学
小豆澤誠 右左 ショート 17年ドラフト
身体のバネの強さが躍動感溢れるプレーをもたらす。
打球に対しての一歩目が素早く、スローイングまでの一連の動きも自然で軽快。
下位打線が定位置だが、フェンス際まで弾き飛ばすパンチ力も兼ね備える。好守・強肩・強打全てに身体能力を活かせるセンスの塊。
プロでの具体像:小坂誠(元ロッテ)



読売ジャイアンツ
増田大輝 右右 内野手 育成枠
二塁・三塁・遊撃を守るユーティリティ。今季は3軍で29試合、2軍で44試合と経験を積んだ。
センター方向に打ち返す打撃が個人的に印象に残った。
小技と脚を武器にセカンド争いに割って入れるか。93年生まれ、大卒2年目と考えれば…



JX-ENEOS
谷田成吾 右左 ライト 17年ドラフト解禁
社会人デビューの舞台となったスポニチ大会でいきなり4番に座り、サヨナラ打・初HRの大暴れ。
指名漏れの悲劇を乗り越え、眠っていた才能が完全に目覚めた。
天性の飛距離と逆方向へも長打が打てる柔軟性はアマ屈指。2大大会で箔を付けろ!
プロでの具体像:左のスラッガー・スーパースターとして人気爆発



慶應義塾大学
岩見雅紀 右右 外野手 17年ドラフト
“慶應のバレンティン”という通称が示すように、長打力が最大の魅力。
3年秋までに通算86打数で9本塁打。
同タイプの2年生・中山翔太(法政大)と比べると、技術面で危うさが残るのが課題。
プロでの具体像:中村剛也(西武)

法政大学
大西千洋 右左 外野手 18年ドラフト
1年秋からセンターの定位置を確保し、2年生ながら通算41安打と通算12盗塁は現役トップ。
今年は国際試合も経験したが、秋季リーグ戦では打率.237と足踏み。
脚という明確な武器を持っているのは強みとなるはず。
プロでの具体像:殻を破ると重信慎之介(巨人)のようになれるが…



奈良学園大学
村上海斗 右右 外野手 18年ドラフト
身長189cmの大型外野手。
北照高校時代は投手として活躍。その強肩と俊足でセンターをこなす。
大学選手権の中京学院大戦では5番に座り、3安打でバッティングコントロールの高さを証明。
プロでの具体像:長野久義(巨人)




以上、16選手だった。
2017年のドラフト会議を少しだけ展望すると、まず清宮幸太郎(早実)という大物に目が行きがちだが、実力派の選手がかなり揃っている。
社会人だと田嶋大樹(JR東)、岸田行倫(大阪ガス)、道端俊輔(明治安田生命)、北村祥治(トヨタ)、藤岡裕大(トヨタ)、菅野剛士(日立製作所)など、紹介した以外にも即戦力の計算が立つ選手が多くいる。
高校生の中には既に全国大会に出場し大舞台での経験のある選手もいて、来年の成長が非常に楽しみだ。
大学生だと昨年や今年のようなドライチ級の選手はいないが、こちらも来年の結果次第というところだろう。
現時点では、将来性と即戦力度の軸がハッキリと別れるような指名になる可能性が高いといえる。
来季を左右するオフシーズンの過ごし方は選手にとって非常に重要だ。
選手がどのように成長するかが今から待ち遠しい。

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明治神宮大会 2016 (上武大-名城大)の感想【栗林良吏、小豆澤誠、吉田高彰】

準決勝で明治大に敗れた上武大と、22年ぶりに出場した名城大の対戦。
最速153キロの2年生エース栗林が上武大打線をどのように調理するか注目だ。

バッテリーが試合を作る




上武大の先発・山下仁は春季リーグ戦(連盟HPに秋季の情報が更新されていないので…)で4試合19回を投げ防御率1.42という右腕。
最速は140キロ台前半、奪三振18、四死球12という数字が意味する通り圧倒的な能力の高さがある訳ではなく、トータルで勝るタイプ。
投球の間隔の短さ、テンポの良さが非常に特徴的だった。このスピード感で投げられたら打者は困惑してしまうかもしれない。この試合は6回1失点(エラー絡みなので自責点0)だった。
卒業後はJR西日本でプレーするとのこと。





またそれをリードして引っ張る正捕手・吉田高彰の落ち着きっぷりもよかった。
智辯学園時代の同学年には岡本和真(巨人)がいた。つまり現2年生。
甲子園、日米大学野球、大学の全国大会と経験豊富なプロ注目捕手だ。







7回からは3年生右腕の宮川哲が登板。
149キロを出したという情報もあるが、この日は140キロが最速だった。
思い切り腕を振り抜く特徴を持つフォームから常時130キロ台後半のストレートを繰り出す。
変化の大きい縦に割れる球種(カーブ?)で空振りを取れ、意表を突く直球で見逃しも取れる。
3回6奪三振無失点で最後まで投げきり奪三振能力の高さを証明してみせた。

最速153キロを誇る名城大・栗林






名城大を22年振りに明治神宮大会へ導いたエースが栗林良吏だ。
1年春からリーグ戦でフル回転し、大学日本代表候補にも選ばれた2年生が全国でどこまで通用するのか注目であった。
結果から書くと、9回2失点完投負け。失点したのは初回と6回。
1回に初球を投げるやいなや、球審から二段モーションの注意を受けた。これで明らかに動揺してしまったのだろう。
先頭を四球で歩かせるとすかさず盗塁を決められ、先制打を浴びた。



6回には4番・長澤壮徒にヒット許した後、途中出場の飯島健二朗に勝ち越し打を献上。
ストレートは最速146キロ。8安打を浴びつつも7奪三振、四球は初回の1つのみと要所で抑える投球が身上だった。
現時点でこれだけの投球が出来るのは流石だと感じた。後は登板過多に伴う故障が心配なくらいで、順調に行けば2年後のドラフト会議で名前が呼ばれることになるだろう。

完成度の高い上武大野手陣




前述の吉田に加え、1番センター・島田海吏と8番ショート・小豆澤誠が気になった。
島田は四球と中前安で2出塁し2盗塁を決めた。得点には絡まなかったが、「出塁したら1つでも先の塁に行く」意識が高く、相手バッテリーは嫌がるリードオフマンだ。吉田と共に日米大学野球にも出場した。
小豆澤(あずきざわ)は身長166cmと小柄な左打ち内野手。



遊撃守備は大学球界でも屈指。打球への初動が速く、捕ってからの送球も素早い。その安定性と判断力、球際の強さ等どれをとっても一級品。
三遊間への打球に飛び込んで処理するファインプレーも魅せた。
ポケットにロジンバッグを忍ばせ頻繁に触っていたのも印象的に映る。
三塁捕殺を試みた際に失策が1つ記録されたが、三塁手の捕球がまずかった部分もある(この選手は懲罰のような形で交代させられてしまった)。



一方打撃でもセンターの頭を超える2塁打を含む2安打。
島田も小豆澤も注目の3年生だ。

総評・まとめ




予想されていた通り、僅差で勝負が決まった。
粒ぞろいの選手をまとめ上げてきた事、全国大会での経験の豊富さ、この点で差がついたように思えた。
しかしながら、最後まで噛み付いた名城大のしぶとさは上武大にとっては恐るべきものだったであろう。
その象徴が2年生エースの栗林だが、有力選手が1人居るだけでチームの雰囲気がガラリと変わることが学生野球だとよくある。
好投手・佐々木千隼を擁し決勝戦まで上り詰めた桜美林大もそのひとつだ。
名城大もそれと同様に全国大会で名を馳せる日も近いかもしれない。





結果詳細

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明治神宮大会(関西大-明治大)の感想【柳裕也、星知弥、佐野恵太、山本隆広】

明治神宮大会は、高校生にとっては新チームとして最初の全国大会、大学生にとっては4年間の集大成となる公式戦だ。
1年間を締めくくる熱戦を見た感想等を今回から書いていく。

関大・吉川峻平はまさかの4失点KO




大学日本代表にも選出された右腕が明大打線の前に崩れた。
初回、牛島将太に先制適時2塁打を浴びると3回には佐野恵太に豪快な2ランを浴び、川口貴都にも適時2塁打を献上。次の回に代打を送られ無念の降板となった。





最速は143キロで、よほど調子が悪いようには見えなかった。六大学で春秋連覇した明大打線を褒めるべきだろう。





もっと言えば、代表クラスの投手からホームランを放った佐野を9位で指名したDeNAの目利きはかなり鋭い。佐野については以前こんな記事を書いた⇒DeNA9位 明治大・佐野恵太はお買い得選手?
川口は投手として入学したが、故障により野手にコンバートされた。4年春に再び投手に戻るが、思うような投球が出来ず、秋に野手に再転向した苦労人である。

柳裕也は貫禄のピッチング








5回76球4安打6奪三振率2四球無失点。
シーズンであれば中盤でマウンドを降りることは無いが、後ろにも良いリリーフが控えておりトーナメントならではの継投だったように思える。
最速は140キロ台中盤だったが、落差の大きいカーブ等の変化球とのコンビネーションが冴え渡った。ドッシリとした体格がゆえにボールにパワーとキレを感じた。
被安打には野手間に落ちるアンラッキーなものもあったが、これも投球にパワーがあるから打球が詰まるのだろう。その一方で三塁方向への痛烈な安打もあり、ここに年々悪化している四死球率(=コントロールのツメの甘さ)が関わっているのだと思われる。

齊藤大将は3年生リリーフエース








柳の後を継いだ齊藤は1回と2/3を1失点、代打・松島恒陽に適時2塁打を浴び途中降板となった。
回を跨ぐ前は「今すぐプロに入っても通用するのでは?」と思うほどスライダーがよかった。直球も143キロ出ていて、この手のスリークォーター左腕が欲しいチームは少なくないだろう。気になったのは先頭にいきなり四球を与えた点と、対右打者への攻め方か。

満を持して登板の星知弥






1点を返され流れを断ち切りたい場面で、いきなり149キロを2球投げ込んだ。3塁ベース直撃のヒットこそ打たれたが、ゲッツーでピンチを防いだ。
彼の魅力はやはりストレート。この日の最速は151キロで、ストライクを取りに行ったようなボールでも145キロが出た。今年の大学生の中でも平均球速は上位に入るだろう。
これだけスピードがあると変化球を振らせることも容易になる。内野席から見たので詳しくは分からないが、制球は良くはなかった。

阪本大樹は期待の3年生




対する関大はリリーフした2人に光るものを感じた。
阪本は小柄な右ピッチャーで、テイクバックを深く大きく取る若干の変則フォーム(コレを派手にやると東海大海洋学部の今村亮みたいになる)。
打者13人から4奪三振。最速は144キロで、見逃し三振を取れるコントロールもあった。

全国デビューで最速147キロ・ 山本隆広








こちらも小柄な右ピッチャー。2年生。
初球146キロを先頭打者にぶつけ、鈍い音が響いた。オイオイなんだコイツは、とスタンドはざわついたが、140キロ台中盤の速球を投げ込むスタイルは変えなかった。
ランナーを溜めた場面でもストレートを全面に押す投球で凌いだ。
制球はまばらでも、球速・パワーピッチ・グラブを大きく掲げるフォームにロマンを感じられる。
関西大は吉川しか知っている選手がいなかったが、山本と阪本を見ることが出来たのは大収穫だった。

総評・まとめ




両先発による投手戦が予想された前評判だったが、関西屈指の好投手・吉川を打ち崩した明治大学に軍配が上がった。
関西大学は終盤に意地を見せるも星に歯が立たなかった。
それでも、リリーフした2投手の好投や、スタンドでの熱気あふれる応援はしっかりと神宮に爪痕を残した。
全国レベルではまだ無名の選手達が、来年の大学選手権での雪辱を誓うだろう。
見る立場の人間としても、前評判に惑わされないようにゲームを見ていきたいと思った。

結果詳細

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東京六大学2016年秋季リーグ戦総括

明治大学が2季連続39回目の優勝を決め幕を閉じた2016年秋季リーグ戦。
いや、幕を閉じたと言っても最後の組み合わせは、必ず早慶戦なのでこの書き方はまずいかもしれない。
しかしながら、そのように書きたくなる程の見事な戦いぶりだった。
今回はそんなシーズンの総括をしてみようと思う。

4大学が優勝争いに絡む



明治大は早稲田に1勝2敗で勝ち点を奪われたのみでで勝率で慶應を上回った。
慶應は明治にストレート負け、早稲田と法政に1敗ずつしたのが痛かった。
早稲田は4年竹内涼・2年小島和哉が主戦に育つも、3年大竹耕太郎が春からの不調を脱せず、4年のアンダースロー吉野和也が伸び悩んだのが誤算だった。
打撃陣でも日ハムドラ2・石井一成が3番に座ったが、リーグダントツの129三振と粗さが目立った。
勝ち点を奪えたのが東大のみだった法政は2・3年生の出場が目立ちチーム再建途中というイメージ。
東京大は立教戦での1勝のみ。この試合で通算4勝目が転がり込んできたのが宮台康平だったが、今季はこの1試合のみの登板。
1回を押し出しを含む3四球38球で1失点で切り抜けたが、ボールはハッキリと高めに浮き好調時の面影はすっかり無かった。
夏場からコンディション不調で登板を回避することも多かったため、個人的にとくにショックは無い。

明治・慶應の強打が目立つ



打率トップ5中4人が明治という貫禄っぷり。ちなみに2年渡辺佳明は横浜高校で監督を務めた渡辺元智氏の孫。
ヤクルトとの奉納試合で球場を沸かせたのが吉田大成。本職のショートではなくセカンドでの出場だったが、ダイナミックな守備は観客を呼べるレベルだった。志望届を提出しなかったため、今後の進路に注目が集まるだろう。
その試合で3安打を放った中山翔太は法政期待の2年生。今季3本塁打の源泉であるガッチリとした体格は慶應・岩見雅紀と似通う面もあるが、解説の青木宣親も絶賛した柔らかな手首の使い方には定評がある。
全試合安打で首位打者を決めた山本瑛大は米サウストーランス高出身の帰国子女。大学で野球は引退するという。
慶大・山本瑛、首位打者も大リーグの仕事目指し引退

投手力に優位性を持つチームは勝てる



明治が柳裕也と星知弥という二枚看板を形成した一方で、慶應は加藤拓也に次ぐ2番手がなかなか台頭しなかった。これが優勝を逃した最大の要因だろう。
ヤクルトとの試合で3者凡退で封じ込めた東大の三木豪はアンダースローの4年生。
打たせて取るタイプらしく調子がいい時は本当に小気味良くゴロの山を量産する。そのスタイルは四死球率とイニングあたり投球数の低さにも如実に現れている。

まとめ


2点先取の勝ち点制であるこのリーグで勝つためには、計算できる投手を2枚揃える必要がある。
明治は柳裕也と星知弥というプロに指名されるクラスの投手で着実に白星を手にしてきた。
それに加え、齊藤大将と水野匡貴という左右の3年生リリーフエースも用意した。齊藤は6試合8イニング、水野は4試合4イニングを投げ優勝に貢献した。来年はこの2人も勝ちを計算出来るピッチャーに成長するだろう。
他の大学も、冬の時期にどのように成長するかで来年の戦いの行く末を左右する。
来週から始まる神宮大会で明治がどのように勝ち進むのかは、他リーグとのレベル差を推し量る材料になる。
これからは他のリーグとのレベルの差についても考えていきたい。

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